どうも、辰です。久々の時計ネタです。タイトルの 【セイコー5】 腕時計 SEIKO5の話し #文字盤の交換 ですが、実際には前回ダブルドームに交換したSNX123のムーブメントが逝ってしまった為、新たに用意した時計のムーブメントをSNX123に移植する作業になります。内容的には文字盤も2本分外しますし、移植作業よりは需要が多いかと思いこのタイトルにしました。
私は文字盤交換というか、ムーブメントの移植は何度か経験があります。最初に色々と調べて参考にさせて頂いたサイト等にはその難しさに触れている方は殆ど居ませんでしたが、どちらかというと不器用な私的には正直、難易度は結構高めだと思います。その辺りも含めて書いてみます。
理由は簡単、オーバーホールよりも手っ取り早いから
今回もこのSNX123が主役です。前回の風防交換でも登場しましたが、ベルトはジェランチャのステンレス製、ケースもパッと見た感じでは分からないレベルですがベゼルが細身で風防のサイズが29mm→30mmの物に変えてあります。何よりもこの文字盤のデザインが気に入っていて、私がセイコー5のモディファイの沼にハマるきっかけになった、とても思い入れのある時計なのです。そして弓カンのデザイン変更など、まだまだ進化する予定の1本です。
そんなお気に入りの1本ですが、最近使用していると気付いたら止まってしまっているという事例が何度も起こり、先日いよいよ全く動かなくなってしまいました・・・もう10年以上前に購入した時計ですから仕方ありません。それよりもノーメンテでよくここまで頑張ってくれたと思っています。モチロン直します。ただ、修理に出すと諭吉1枚では足りないレベルだと思われます。それならば新品のセイコー5を購入して中身を移植した方が安いですし、時間も取られません。早速ドナー探しです。
文字盤とリューズの位置関係には注意が必要
後から気付きましたが、この説明は必要だと思いますので書きます。画像中央の主役はすでに完成している物です。リューズの位置に注目です。右の時計のリューズの位置は4時付近、その他は3時付近に取り付けられています。現在販売されているセイコー5は殆どが右の4時リューズです。
こちらは文字盤の裏を撮影しています。丸で囲んだ部分に突起があります。この突起の位置が3時リューズと4時リューズでは異なります。文字盤をムーブメントごと移植するのであれば取り付けは可能ですが、3時リューズの物をごっそり4時リューズのケースに収めると1時の位置に文字盤の12時が来てしまいます。そして各ムーブメントに異なるリューズ位置の文字盤のみの交換は突起の位置が合わないので取り付け出来ません。突起を削り、両面テープ等で貼り付ける強者もいるみたいですが・・・
今回のSNX123は3時リューズなので同じ3時リューズのドナーを探す必要があります。そして物色したのがこの時計です。
中古ですが未使用品で格安でした。5sportsなのでムーブメントは7S36です。7S26と7S36は石の数が違うだけでサイズは全く同じですので互換性があります。そして何よりもカレンダーの色が黒というのがポイントでした。文字盤が黒いのにカレンダーは白だったのがこれで統一されるのです。
いよいよ移植作業開始です
まずは患者さんから文字盤の付いたムーブメントをごっそり摘出します。ここまでは前回の風防交換で書いたリューズの外し方を読んで頂ければ楽勝です。そしてドナーからの新品ムーブメントを摘出するまでに時間が掛かりますので文字盤に出来るだけ埃が乗らないように蓋を被せます。
ここから購入した時計もムーブメントを摘出していきます。このベルトは外さなくても裏蓋が回せるのでとても楽でした。
裏蓋を外しても何故かムーブメントが回収出来なかったので、表のベゼルを外してみたら取れました。未だsports系はバラした事が無かったのでこれで合っているのかも分かりませんw
こちらがほぼ新品の7S36とその文字盤です。書き忘れましたが、これから針を外します。この自動巻きのゼンマイはストップ機能が無いので、巻いてしまうといつまでも針が動いたままで破損させてしまう可能性があります。あまり動かさず、ゼンマイを解いた状態にして時刻を24時にして全ての針の位置を整えます。ここで24時に合わせておかないと、次に針を取り付けた時にカレンダーの動きがおかしくなってしまいます。デイジャストではないので大体24時付近であれば大丈夫です。
そしてムーブメントを横から見て3本の針の高さの位置を、このまだ触っていない状態でしっかりと確認しておく必要があります。そうしないと抜いたは良いですが戻す時にどこまで刺せばよいか分かりません。それも目視なので自分の感性に頼る部分が大きいです。
ここが私が難易度が高いと感じる部分です。時針、分針が接触してもダメですし、文字盤と時針が接触してもダメです。秒針は入る所までしか入りませんが、あまりにも細過ぎて軸に入れるのがかなり困難です。ルーペは必需品です。
それでは新品ムーブメントから針を抜きます。残ったパーツはストックしますので、文字盤もキズ防止でクリアファイルを丸くカットした物をカバーにして文字盤の上にセットします。
剣抜きで一気に抜きます。中央の押さえを軸にセットし、両脇の湾曲した部分を摘まむと針を引っ張り出してくれます。
ほぼ24時の位置に3本まとめてセットしたので全ての針が同時に回収できます。
最初の方で説明した突起が2時と8時の裏にありますのでその2か所を中心にムーブメントと文字盤の間に精密ドライバー等(私は爪で外します)を少しずつ入れて分離します。接着はされていないので結構楽に外せます。カレンダーですが、外周の日付はこの状態で取れますが曜日は軸にCリングで固定されているので結構大変です。私はムーブメント側はあまり手を入れたくないのでこの部分はいじりません。
ようやく折り返しです。文字盤をムーブメントにセットします。焦る事はないのですが、ここからは埃等との闘いになりますのでスムーズに作業を行いたい所です。
集中する部分だったので針を入れる部分の画像がありませんでしたw代わりの物で説明します。文字盤を取り付けたムーブメントを剣押さえにセットします。外した時と同じ時刻と高さに合わせます。時針から順に剣押さえで軸に挿入します。この部分でしっかり中心にセットしないとせっかくの新品ムーブメントは破損してしまいます。私はルーペで覗きながら何度も位置確認を行いました。
3本の針が確実にセット出来たらリューズを戻して動作確認を行います。正常に動作したのを確認したら後は元に戻して完成です。
新たな心臓を手に入れたSNX123は元気に復活しました。そしてカレンダーを黒にした事で全体的に引き締まった感じになったと思います。大成功です。
最初にも書きましたが、私的にはかなり難易度の高い作業だと思います。実施するかどうかは本人次第ですが、自身で手を加えた事で愛着が増すのは間違い無いと思います。これから先、また何年も時を刻んでくれる事を祈りますw
追記
補足ですが、ケースの大きさでリューズの長さは異なります。
上が購入した5sports、下がSNX123の物です。新品を使いたい所ですが、リューズは元のケースの物を使用しないと取り付けが出来ません。